樹脂金型の表面処理の種類と用途について解説!金型の不良改善・トラブルを解決

樹脂金型 表面処理 窒化後

樹脂金型の表面処理とは?

樹脂の表面処理とは、そもそもどのような加工を指すのかご存知でしょうか。表面処理は、素材の表面に加工を施すことで、素材が持たない機能を付与することができる加工を指します。表面処理の方法はさまざまあり、熱処理により表面状態を変化させたり、異種材料をコーティングしたりすることで、樹脂金型に新たな機能を付与します。樹脂金型にはこのような表面処理が施されることが多いです。

ではなぜ樹脂金型に表面処理を施すのでしょうか。表面処理を行なうのには、もちろん明確な理由があります。ここからは、樹脂金型に表面処理を施す目的とその効果を解説します。

樹脂金型の表面処理を行う目的とその効果

樹脂金型に表面処理を行う主な目的は、以下の特性を向上させるためです。

  • 耐摩耗性
  • 離型性
  • 耐食性

金型の摩耗は成形品の不良に繋がりますので、耐摩耗性を向上させることで使用に伴う金型の摩耗や割れの発生を低減できます。耐摩耗性が高いほど金型の寿命が延びるため、製造コストの削減にも繋がります。

また離型性の悪い金型の場合、金型から成形品を外す際に、金型や成形品を破損させる恐れがあります。金型の長寿命化や成形品の不良率低減のためには、離型性を向上させることが重要です。

そして表面処理による耐食性の向上も重要です。樹脂や水分が金型に付着すると、錆の原因になります。錆が発生し、研磨で除去しなければならなくなると金型を傷つけてしまうため、耐食性の向上は金型の寿命延伸に繋がると言えます。

表面改質のための表面処理の種類と特徴

樹脂金型の表面処理には、大きく分けて「表面改質」と「コーティング」の二種類があります。表面改質は金型の表面状態を変化させる加工です。

表面改質の方法はいくつかありますが、代表的なものとして窒化処理があります。窒化処理は金型に窒素を浸透させ、表面特性を変化させることができます。樹脂金型の表面処理として窒化処理はよく行われており、タムラエジアでも対応しております。ここからは窒化処理についてより詳しく解説いたします。

窒化処理

窒化処理とは、樹脂金型の表面に窒素を浸透させる改質方法です。アンモニアガス中で熱処理を施すガス窒化や、プラズマを利用したプラズマ窒化が主な処理方法です。窒化処理を施した表面の硬さが向上するため、樹脂金型の耐摩耗性が向上します。すなわち、窒化処理により金型の品質を長く保つことができるというわけです。

樹脂金型 表面処理 窒化前 窒化後

なお、窒化処理の温度や時間によって窒素の浸透距離や表面硬さが変化します。そのため金型の要求特性にあわせて、適切な処理条件を検討する必要があります。

コーティング(被覆)による表面処理の種類と特徴

コーティングとは、樹脂金型の表面をさまざまな材料で被覆させる表面処理方法です。表面改質とは異なり、母材とは異なる材料を表面に被覆させます。樹脂金型に使用される主なコーティングの種類には、以下のようなものがあります。

  • 無電解ニッケルめっき
  • 硬質クロムめっき
  • 溶射

コーティングは、母材では発揮できない異種材料を表面に被覆することで、金型に機能を付与します。ここからは、樹脂金型に使用される各コーティングの特徴を解説します。

無電解ニッケルめっき

無電解ニッケルめっきとは、化学反応を利用して金型の表面にニッケルを成膜する表面処理技術です。熱処理により硬さが向上するため、樹脂金型の耐摩耗性を高めることができます。

無電解ニッケルめっきの特徴の一つが、成膜に電気を用いないことです。化学反応による表面処理であるため、複雑形状の金型にも均一に成膜できます。このような性質・特徴があることから、形状が複雑な樹脂金型の耐摩耗性を向上させたい場合に行われます。

硬質クロムめっき

硬質クロムめっきとは、母材にクロム層を成膜する表面処理技術です。

樹脂金型 表面処理
※写真中央部分に硬質クロムメッキを施しています。

硬質クロムめっきを施すことで金型表面が硬化するため、耐摩耗性が向上します。無電解ニッケルめっきとは異なり、熱処理を施さなくても高い硬度を有します。ただ硬質クロムめっきの成膜には電気が利用されるため、均一電着性に劣っています。そのため、複雑形状ではなく単純形状への成膜に適しています。

もし樹脂金型の形状が単純な場合は、硬質クロムめっきの処理をご検討されてください。なお硬質クロムめっきは膜厚が大きいほどクラックが生じやすくなります。クラックが生じると、腐食されやすくなり樹脂金型の寿命が短くなるためその点注意が必要です。

溶射

溶射とは、熱によって溶融、軟化させた粒子状の物質を、高速で表面に吹き付けて成膜する表面処理技術で、吹き付けられた粒子状物質が表面に薄い膜を作ります。ニッケルやクロムなど特定の金属を成膜するめっきとは異なり、溶射では金属、セラミックス、樹脂などのさまざまな材料で吹き付けができます。

例えば、硬い材質の溶射により金型の耐摩耗性を向上させたり、非粘着性物質の溶射により離型性を高めたりできます。また、溶射を用いた吹き付けには処理槽が必要ないため、めっきよりも大きな製品への表面処理を可能にします。

樹脂金型に必要な表面処理について詳しくはタムラエジアへ

樹脂金型の表面処理の種類をご紹介しましたが、表面処理を行う際は金型の材質や大きさ、また付与したい機能を考慮して適切な表面処理を行う必要があります。

タムラエジアでは各種押出金型の製作だけでなく、今回ご紹介した表面処理にも対応しており、金型に適した表面処理を行います。また、表面処理を行った上で高い精度で金型を仕上げるところが、弊社の強みでもあります。もし樹脂金型の表面処理のご依頼先をお探しの方は、下記お問い合わせ先よりご連絡ください。

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メール:info@tamuraejer.com
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